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日本文化チャンネル桜(二〇〇四年八月二十八日放映)

「沖縄米軍ヘリ墜落事故をどうみる」

――日本共産党・市田忠義書記局長が語る――


 日本共産党の市田忠義書記局長は、28日放映のCS放送・日本文化チャンネル桜の番組「各党は主張する」に出演し、米軍ヘリ墜落事故について語りました。聞き手は「しんぶん赤旗」政治部記者、藤田健さん。


 藤田 きょうは、日本共産党の市田忠義書記局長に、今月十三日に沖縄県宜野湾市で起きた米軍ヘリ墜落事故についてお聞きしたいと思います。市田さん、よろしくお願いします。

 米軍ヘリの墜落事故ですが、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学の校舎にCH53Dという大型ヘリが衝突・炎上するというたいへんショッキングな事件でした。さいわい、住民に負傷者は出ませんでしたが、周辺は住宅密集地で一歩間違えば大惨事になるところでした。沖縄では「恐れていたことが現実になった」と不安と怒りの声が広がっています。市田さんは、この事故をどうごらんになっていますか。

市田 ほんとうにひどい事件だと思うんですよね。共産党の沖縄の責任者で衆議院議員をしている赤嶺政賢さんが、事故が起こった直後に現地にいったんですが、周辺の民家にコンクリートの破片だとか、プロペラの残がいが飛び散っていたというんですね。ところが、その上空を事故を起こしたのと同じ(タイプの)ヘリが飛び交っていた。腹が立って仕方なかった、といってました。

 「恐れていたことが起こった」といまおっしゃったけれども、事故が起こった直後に地元紙が世論調査をやったんですよね。そうしたら、「いつかはこういうことが起きるんじゃないか(と思っていた)」と答えた人が、宜野湾市民で93・3%なんですよね。沖縄の県全体でも75%です。沖縄の本土復帰後、三十二年間で七十件以上の事故が普天間の基地だけで起こっているんですよ。そうしますと、だいたい一年間に二件以上起こっているというわけです。九三年には、今度墜落したのと同じヘリコプターがクレーン車を宙吊りしながら飛んでいて、それを市街地に落っことしたという大事故が起こったわけですけれど、本当に宜野湾市民というのは命の危険と隣り合わせで暮らしているという重大な事態があらわになったのが今度の事件だったんじゃないかなと思いますね。

藤田 ほんとうにそうですね。米軍ヘリに墜落された校舎には、当時職員二十五人いたそうですし、大学だけではなくて、道一つ隔てたら住宅密集地、小中学校もあれば保育所もあるという場所だったようですけれど、現場から四十b離れた民家では、ヘリの破片が生後六ヶ月の乳児が寝ていた部屋を貫通したということもあったそうですね。

市田 あの普天間基地というのは、宜野湾市のど真ん中にあるわけですよね。(基地の)フェンスのすぐ近くに、びっしりと住宅や商店街、小中学校が密集しているわけです。たしか、あの事故の起こった日にも、近くの宜野湾市の保育所ですかね、百人の幼児がいたというわけです。世界中どこを探しても、アメリカ本土でも、そういう市街地のど真ん中に軍事基地があるというところはないわけですね。

さきほど、いつかこういうことが起こるといいましたけれども、たとえば米軍基地の必要性を認めているような人でも、「普天間はあまりにひどすぎる」と。あんな市街の真ん中に基地をおいて、しかも早朝から夜間にわたる訓練をやるわけでしょう。市街地の上空で旋回訓練をやるわけですからね。やっぱり、「あの基地を撤去してほしい」というのは、共通の願いじゃないでしょうかね。

藤田 今回の事故では、放射能漏れの疑いもでています。この問題では、私どもの「しんぶん赤旗」が、米軍が放射能探知機・ガイガーカウンターを使用していたことを付き止めましたけれども、この問題はどうですか。

市田 防護服を着て作業をしたり、放射能の汚染調査をやっていたということは、放射能汚染の疑いがあるからやるわけで、イラク戦争で使用された劣化ウラン弾が搭載されていた可能性があるわけですから、そういうことを含めて、米軍の側からきちんと公表すべきだと思いますね。

そして、仮に放射能汚染の疑いがあるんだったら、住民にどんな被害を与えているかわからないわけですから、その健康調査ですね、きちんとやる責任があると思いますね。

藤田 ただちにやるべきですよね。今回の事故を契機に、そういう危険な米軍基地は「移設」とかではなく、撤去しかないという世論が盛り上がっているというふうに聞きますけれど…。

市田 これも地元紙の世論調査を読んでみたんですけれど、あの基地の「県内移設反対」というのが実に81%ですね。普天間基地の「無条件撤去」35%ですよ。いわゆるSACO合意(藤田「日米特別行動委員会の合意ですね」)でね、辺野古に普天間基地の機能を「移設」し、新しい基地をつくることになっているけれども、辺野古に基地を新設することについて賛否を問うた世論調査では賛成はわずかに6%ですよ。

藤田 6%ですか。

市田 今度の事件が起きて、辺野古で座りこみをやっている人びとも、ほんとうに米軍基地の危険性がますます証明された、いまこそあんな危険な基地は日本中からなくすべきだという声が起こっているわけで、これは沖縄県民全体の声だと思います。

 こういう声を無視して、新基地建設にこだわってきた。そのために普天間基地がずっと居座り続けたわけで、そういう経過の中で起こるべくして起こったのが今度の事件だと。そういう意味では、日本国民、沖縄県民の命よりも米軍の方が大事だと、こういう立場をとっている日本政府の態度が、私はいまほどするどく問われているときはないんじゃないかなと思います。やはり、普天間基地の閉鎖・撤去、そして新基地建設やめる、基地のたらい回しを止めるべきだという運動を、沖縄、全国で起こすべきだと考えますね。

藤田 なるほど。もう一つ、沖縄県民の怒りを買っているのが、事故現場での米軍の我が物顔の態度あと思うんです。事故現場の沖縄国際大は民有地なのに、米軍が勝手に現場を封鎖して大学関係者も入れない。それから、県警の現場検証の要求さえ拒否する。そういう米軍の態度は、日本政治のあり方に非常に重大な問題をなげかけているんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。

市田 いったい沖縄はどこの国なのか、と疑いをもたざるを得ないような事態ですよね。基地の外で、日本の国土で、事故が起こって日本国民の生命や財産が脅かされているときに、日本の警察や行政当局が「手も足も出せない」と、一体こんな主権国家があるんだろうかと。(「ほんとうにひどいですね」)

 地位協定をもちだして、あの米軍機はアメリカの財産だと、財産権は保障しなければならないといっているんだけれども、米軍機が仮にアメリカに管理権があるとしても、その周辺の住民が命の危険にさらされているわけですから、それにたいして、警察や日本の行政当局が現場検証をやる、事故原因の究明をやるという権利は当然あるわけで、「地位協定」自身がたいへん「治外法権」的な特権を米軍に与えているんだけれども、その地位協定の立場からいっても、日本の政府や行政当局、警察がこれに関与できないということはない。

藤田 なるほど。

市田 そんなアメリカのムチャクチャなやり方を許してはならないと思いますね。

藤田 ところが外務省は、「日米政府の合意」だということで、アメリカの横暴な態度を容認する姿勢をとっていますけれど、これはどういうからくりがあるんですか。

市田 アメリカいいなりの典型的な出来事だと思うんですけれどね。たしかに、地位協定についての日米の合意議事録を読みますと、こういう文言があるんですよ。

 「日本国の当局は…所在地のいかんを問わず合衆国軍隊の財産について、捜索、差し押さえまたは検証を行う権利を行使しない」

 同時に、そのあとに、日本政府が希望し、アメリカが認めたら、捜索も検証も行うことができるという文言があるわけですよ。地位協定自身がひどいものなんだけれども、その地位協定のもとでももっとき然と、日本の国土、領土で起こったことですから、もっと堂々と主張すべきだと思うんです。

 あのベトナム戦争の時の、たしか一九六八年、あなたが出身の九州大学にアメリカの戦闘機が落ちたときに、あのときもひどかったですよ、ひどかったけれども、あのときの少なくとも防衛庁長官は日米共同で調査をすべきだと。原因究明ができるまで夜間飛行訓練はやめるという約束をさせて現にストップさせたんですよ。

 七七年、横浜で、九人が死傷した(緑区の)戦闘機が墜落した事件がありました。あのときは、日本の警察も消防も、一緒に現場検証をやっているわけですね。あのときもひどい、米兵だけ逃げて、母子を置き去りにしたというひどいやり方だったでしょう。やり方だったけれど、そのときでさえ、こういうことをやっているわけね。そのときと比べても、今度の政府の弱腰というのは、ほんとうにひどい。だから、事件のひどさと同時に、その後の政府がとっている態度への怒りが、やはり日本中で広がっているんじゃないですか。

藤田 おっしゃるとおりだと思います。ところが、ついこの間まで小泉さんは、「夏休みだから」ということで、沖縄県の知事や宜野湾の市長が上京して、面会を要求しても拒否するという態度でした。今度、ようやく会うことになったようですが、外務省も世論におされて日米合同委員会の事故調査分科会を開くことになったようです。こういう政府の対応、沖縄の怒りをかきたてている政府の対応をどうご覧になっていますか。

市田 私、だれでも夏休み取る権利はありますし、小泉さん流にいわせれば、夏休みも「いろいろ」だと思うんですよ。どういう風に夏休みを過ごすかは自由だと思うんです。しかし、小泉さんは一国民じゃないと思うんです。日本の政治の最高責任者で、日本国民の生命、財産に責任を負っているわけですよ。たしか、あの事故が起こった当日は、六本木ヒルズで映画を観ていたんですよ。翌日はアテネのオリンピックをテレビでみて、その翌日は金メダルをとった人に電話しているんですね。そういうパフォーマンスだけは熱心なんです。(その)翌日は歌舞伎を観にいったんです。

 私ね、日本の国民の命が脅かされているときに、よくも歌舞伎をのんきにみていられるな、とその神経を疑うわけですよ。なにはさておいても、現場に飛ぶとか、アメリカと談判するとか、そういうことやるのがやっぱり総理のとるべき態度だと思うんですね。

 地元紙をみていたら、こんな社説ですよ。「国民の安全を守る危機管理のトップとしての資質を疑う」。これは琉球新報ですね。「夏休みで都内にいるはずの首相が会えないのに首を傾げてしまう」。これは沖縄タイムスですね。私、「えひめ丸」の事故のとき、ゴルフをやめなかった森前首相とだぶりまして、あのとき大問題になりましたよね。そういう世論におされて、ようやく(知事と)会いましたけれども、そのことによって、夏休みを理由に沖縄県知事の面会を拒否した、宜野湾市長の申し入れや面会を拒否した、その罪は、私は消えないと思いますね。

藤田 小泉首相が「音無しの構え」をとってきた背景に、アメリカの無法なイラク戦争を支持したことと関係があるんじゃないかと、私などは疑いたくなるんです。というのは、事故をおこしたCH53というヘリは、イラク派遣のために山口県の岩国基地から沖縄にきて事故を起こしたわけです。二十一日には、県民の飛行中止の要求を無視して、イラク派遣のためだといって六機が飛び立っていったわけですね。イラク戦争の問題と、今回の事故の関連、これはどうごらんになりますか。

市田 私は、大いに関連があると思いますね。夏休みだから会わなかったというのは、私の推測では、表面上の理由だと思うんですよ。あの無法な国連憲章違反のイラクへの侵略戦争を、真っ先に支持したのは小泉政府だったわけですね。その戦争を支持して、その後の無法な軍事占領、これまた支持を与える。最近では主権移譲されたけれども、多国籍軍―名前変えたけれども前の米英占領軍となんら実態は変わらないわけね―その多国籍軍に日本の自衛隊が参加するということを勝手に決めてしまって、相変わらずああいうナジャフやファルージャで無差別の爆撃、攻撃をやっているわけですね。その無差別爆撃の共犯者に日本はなっている。

 そういう立場にたっている国の政府だから、あの基地から「イラクの自由作戦」のために飛び立つヘリコプターが事故を起こそうがそんなこと文句をいえる筋合いではないという気持ちがあったと思うんですよね。ほんとうにこれもどこの国の政府だと思わざるをえませんよね。

 それから、イラク情勢、いまたいへん緊迫していますよね。南部のサマワ、自衛隊の宿営地の近くで迫撃砲による爆撃があったといわれています。われわれはもともと、イラクに「戦闘地域」も「非戦闘地域」(の区別)もないといってきました。百歩譲って、政府の言い分を認めるとして、「非戦闘地域」だから大丈夫だ、しかし、近くでそういう衝突が起これば自衛隊は引き上げるんだ、と(言ってきた)。政府がこれまでいってきた言い分からいっても、自衛隊が居座りつづけることは根拠がなくなったと思うんですね。

 ところが、アメリカの占領に協力加担するために、沖縄県民の命を犠牲にしても、どうぞ米軍ヘリ、引き続き飛んでもらって結構ですと。許しがたいですね。

藤田 なるほど。ところで、沖縄県内では、さまざまな団体・個人が党派の違いを超えて、いま「基地をなくせ」の声をあげはじめています。九月五日には、宜野湾市で一万人規模の市民集会も計画されているようですけれども、日本共産党は、今回の事故をどのようにとらえて、これからどういうふうに行動していこうとしているのか。そこを最後にお聞きしたいんですけれども。

市田 私は、今度の事件があらわにしたことは二つあると思うんです。一つは、日米安保条約に基づくアメリカいいなりの政治が日本国民をどういう方向に導くかということ。もう一つは、日本の政府が日本の国民の生命・財産よりも米軍の方が大事だと、言葉がきついかもしれないけれども、売国的政府だということをあらわにした。この二つのことを、今度の事件は明らかにしたと思うんですね。

 われわれ、事件が起きたらただちに現地にいきましたし、先日は、赤嶺政賢衆院議員と仁比聡平参院議員が防衛庁、外務省、内閣府に申し入れしましたけれども、沖縄県での(米軍の)飛行訓練全部やめろ、原因の究明きちんとやれ、それから普天間基地閉鎖して全面撤去と、新しい辺野古への基地の移設をやめろ、なによりも地位協定
を抜本的に見直して、根本によこたわっている、アメリカいいなり政治の根拠になっている日米安保条約をやめさせる世論を沖縄と日本全体でつくりだしていく。

 戦後六十年近くたつわけでしょう。いまだに外国の基地が日本中におかれている。そんな主権国家は世界中どこを探してもないんですよね。われわれと政治的立場違う人でも、これで一人前の大人の国といえるかと、恥ずかしいじゃないか。首都のど真ん中に基地がおかれている国はないですよね。沖縄には、日本におかれている米軍基地の七十数lが陣取っているわけで、やっぱり基地のない沖縄、基地のない日本。ほんとうの意味で、形のうえでも実際のうえでも独立した主権国家になっていく。そのためにもこの沖縄問題を重視して、たんに沖縄問題ではない、日本の主権、国民の生命・財産がかかっている大問題だと、国会でもとりあげるし、国民運動も大いにもりあげて世論の力で追いこんでいくために―国会はいま開かれていませんが、閉会中審査も要求して、国会でもとりあげる。あらゆる場所で大問題としてとりあげていきたい。現地調査もいきたいなと思っています。

藤田 安保廃棄を掲げる唯一の政党の本領発揮ということですね。

市田 そうですね。

藤田 きょうはどうもありがとうございました。

市田 ありがとうございました。