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2003年5月12日(月)「しんぶん赤旗」

NHK日曜討論 市田書記局長の発言(大要)


 十一日のNHK「日曜討論」に出演した日本共産党の市田忠義書記局長の発言(大要)は次の通りです。番組には、市田氏のほかに、自民・山崎拓、公明・冬柴鉄三、保守新・二階俊博、民主・岡田克也、自由・藤井裕久、社民・福島瑞穂の各幹事長が出席しました。


「修正」でも海外での武力行使に道ひらく

 市田氏は、与党側と民主党が行っている有事法案の「修正協議」について、次のようにのべました。

 市田 有事法案の本質は、日本が攻められたときの備えではなく、イラク戦争のように国連憲章に違反した先制攻撃に日本が武力をもって協力する、そのために国民を強制的に協力させていくという仕組みで、いわば“攻めるときの備え”の法案だと思います。

 民主党は、一九九九年の周辺事態法に反対したとき、自衛隊の活動領域がこれまで以上に広がる危険性がある、「専守防衛」に反するということで周辺事態法に反対したわけです。

 また、「周辺事態」と「武力攻撃事態」が重なりうるということは政府答弁でもいわれたわけですが、そうなると、そのときの米軍の行動と日本のかかわり方に非常に不確定なところがある。政府の恣意(しい)的な判断で武力紛争に日本が巻き込まれる危険があるのではないかということを、(民主党は)去年の七月十八日に見解として発表されたわけです。

 民主党のもっていたそういう懸念が、はたして今度の「修正」でほんとうに払しょくされるのか。有事法案がもっている最も危険な本質を変えるものではないのではないか。現に一昨日(九日)、民主党の筒井(信隆)議員がそういう角度で(国会で)質問された。日本の領域以外でも、日本の領域外の世界中のどこでも、自衛権行使の名で海外で武力行使に道を開くことにつながるのではないかと。

 これに対し、岡田氏は「指摘の点は、われわれが問題にしている一つの点だ。国会の中で、きちんとした担保がとれればいい」「審議の中でただしていく」とのべました。

部分的な「人権保障」でも本質変わらず

 市田氏は、「修正協議」で民主党が求めている「基本的人権の保障」の明記について問われ、次のようにのべました。

 市田 有事法案の法体系全体が、「公共の福祉」に反しない限り自由や人権が認められるとなっている。国会のやりとりでも、福田(康夫)官房長官の答弁でも、戦争遂行という「公共の福祉」、その目的に反したら制限されると、反戦平和のデモや集会も。基本的にはそういう法体系になっているわけです。(「修正」では)有事法制のもっているきわめて危険な内容がまったくなくならない。

 周辺事態法ができたとき、日本がどこからも攻められていないのに、海外でアメリカが戦争を起こしたとき、「周辺事態」と認定されれば、日本の自衛隊が海外に出ていって「後方支援」をやる。(しかし)そのときは、制約がありました。戦闘地域には行かない、直接の武力行使をやらないと。

 (有事法案では)それを「武力攻撃事態」と読みかえれば、(自衛隊は)逃げ帰らずに、そこにとどまって武力行使をやる。これは、日本がどこからも攻められていないのに、憲法で否定されている海外での武力行使に道を開く。

 岡田さんは、「質問で担保をとる」と(のべたが)、民主党の筒井議員の質問でも、疑念は払しょくされていない。払しょくされるどころか、いっそう(法案の)危険性が石破(茂)防衛庁長官の答弁で明らかになったと思います。

 これに対し、山崎氏は、「自衛隊を(海外に)送る道を開くために有事法制をつくっているという議論があったが、全く関係ない」とのべました。これに対し、市田氏は反論しました。

 市田 山崎さんが、外国から攻められたときの対処のための法案だとおっしゃいました。たしかに、「わが国」への武力攻撃に対処すると(法案に)書いてある。しかし、国会のやりとりで、「わが国」とはどこかということが大問題になったのですよ。そのときに、日本の領土領域だけではなく、海外に「周辺事態法」で展開中のわが国艦船も「わが国」にあたるし、テロ特措法でいまイージス艦を出していますが、これも「わが国」にあたるということは、政府の答弁でもはっきりおっしゃっているわけです。

 だから、日本の領域だけではなく、周辺事態法で展開中のわが国艦船も攻撃を受ければ、「周辺事態」ではなく「武力攻撃事態」と読みかえれば、海外で公然と武力行使をやれる。しかも、日本に影響が及ばないという場合でも、法律上は可能だと石破防衛庁長官は答弁しているわけです。

イラク復興支援は国連中心で

 議論はイラク復興問題に移り、市田氏は「国連中心にすべきか」と問われ、次のようにのべました。

 市田 そう思います。アメリカが新しい国連決議案を出しましたが、その中身をみてみますと、国連の関与は部分的には書いてあるのですけれども、ほとんどわき役です。アメリカとイギリスが一年以上占領を継続するし、石油の権益についても、イラク中央銀行が管理するのだけれども、その支出についてはアメリカ、イギリスが全部権限を握る。この決議案は、国連中心にまったくなっていない。

 また、今度のイラク戦争の一番の「大義」といわれていた「大量破壊兵器の廃棄」についても、査察については、いっさい言及していない。

 冬柴さんも、毎回の討論会で、スプーン一杯で二百万人の殺傷力がある炭疽(たんそ)菌一万?、これが廃棄されていないと推察されると何回もおっしゃった。そのためにイラク戦争は認められるといった。もしそうなら、(国連監視検証査察委員会の)ブリクス(委員長)は、要請があればいくらでも査察をやるといっているのに、アメリカはそれを拒否しているわけで、国連の査察は復活されるべきだという立場に与党も立たなかったら、まったく整合性がないと思うのです。

自衛隊派遣でなく、民間の人道支援に協力を

 イラク「復興」支援にかんして国連決議が採択されれば、自衛隊を派遣するとの与党側の議論について、市田氏は次のようにのべました。

 市田 山崎さんは、“目にみえるということ、日本の旗を掲げるということからすると、やはり自衛隊の派遣ということになる”とテレビ番組でおっしゃっています。これははじめに自衛隊派遣ありきの議論だと思います。

 私は、人道的な支援、医療とか注射器を送るということは必要だと思います。しかし、それは民間、NGO(非政府組織)の方がむしろ手慣れています。インターネットで調べてみましたら、NGOの七十九団体がイラクで人道的な支援でいろいろやっています。そういうことを協力することこそがいま必要です。

 イラクへの侵略に日本は賛成した国ですから、それが武器をもって行くということになれば、たとえばイラクのある医者は、こういっています。“米英に協力した日本に対する市民感情の悪化は心配だ。不信感をやわらげるためにも、対話重視の民間交流が果たす役割は大きい”と。私は自衛隊の派遣というのは、向こうも望んでいないと思います。