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2003年3月24日(月)「しんぶん赤旗」

NHK日曜討論 市田書記局長の発言


 日本共産党の市田忠義書記局長は二十三日、NHK「日曜討論」に出演し、アメリカなどによるイラク攻撃と日本政府の対応について討論しました。出演はほかに自民・山崎拓、民主・岡田克也、公明・冬柴鉄三、自由・藤井裕久、社民・福島瑞穂、保守新・二階俊博の各幹事長。司会は山本孝NHK解説委員。

 初めにイラク攻撃の是非について、市田氏は次のように述べました。

国連憲章違反の無法な先制攻撃

 市田 今度の武力行使は、三つ問題があると思います。

 一つは、だれが考えても、どこからみても、国連憲章違反の無法で不当な武力行使だということです。

 アメリカが侵略されたわけではない。攻撃を受けているわけでもない。イラクが大量破壊兵器をもっているかもしれないという疑いがある。それがテロリストに渡るかもしれない、アメリカに向けられるかもしれない―という二重、三重の仮定で相手の政権を倒す、一方的に武力行使をやる。これは国連憲章が明確に禁じている先制攻撃そのものだと思います。

 それから、安保理決議も、この武力行使を根拠づけるものはいっさい採択されていないということだと思います。

 ブッシュ大統領自身がこの武力行使に正当性があるかどうかということが問題ではなくて、アメリカの意思が問題なんだといっています。正当性がないということをみずから語っているのと同じことだと思います。

 三つめに、査察による平和解決の努力がちょうど軌道に乗り始めたときに、それを断ち切る。別の道があったのにそれを断ち切ったことです。

 イラクが大量破壊兵器を廃棄しないのは間違っていると思います。しかし、それを国連がまだ持っているということを明確に断定していないもとで、国連の決議なしに武力行使をやる、先制攻撃をやるということは絶対に許されない、無法で不当な行為だと思います。

過去の安保理決議で攻撃を容認できない

 与党側は、武力行使の根拠について、昨年の安保理決議一四四一、湾岸戦争時の武力行使容認の六七八決議、停戦条件を定めた六八七決議を持ち出して「三点セット」とのべ、「(武力行使容認の)安保理決議六七八に戻る」(山崎氏)などと弁明。市田氏は次のようにのべました。

 市田 アメリカがイラクから攻撃されたり侵略されているわけではない。どこからも攻撃されていないのに、攻撃される恐れがあるということでやるというのは国連憲章が禁止している明確な先制攻撃です。

 こういうことが許されるならば、イラク問題だけではすまない。アメリカがあの国はあやしい、うちに攻めてくるかもしれない、と国連でもどこでも認定されていないのに、アメリカが裁判官のように勝手に決めてしまったらいつでも攻撃ができるということになれば、世界は無秩序の無法地帯に化してしまう。

 それから、一四四一決議については、この決議では武力行使はやれないということをみんな認識していたから新しい決議の採択を執拗(しつよう)に求めたわけですよ。それが実現しなかったとなったら、今度はにわかに、あれでもそれは授権されていたんだというのは、これは本当にごまかしです。

 六八七の停戦決議というのは、当事者は国連なんです。国連が、この六八七の違反があったから六七八に戻ってよろしいなどという決定は一度もやっていない。

 六七八は、イラクがクウェートに侵略した、その侵略を除去するための決議なんですよ。それをいまもってくるというのは、論外です。

北朝鮮問題を口実にした戦争合理化論は成り立たない             

 与党側は「信頼関係がないと日本が攻撃を受けたときにアメリカが守ってくれるかどうか」(公明党・冬柴鉄三幹事長)などと北朝鮮問題を持ち出してイラク攻撃支持を合理化しました。市田氏は次のようにのべました。

 市田 イラクへの武力攻撃が正当性をもっているのか、根拠をもっているのか。その判断を北朝鮮との関係でてんびんにかけて判断するのは間違っていると思います。北が何かを起こしたときにアメリカに守ってもらいたい。そのためにイラクの無辜(むこ)の市民を犠牲にしていいという論理は、絶対に成り立たない。

 それから、イラクの問題で、国連の決議もなしに、国連憲章にも違反して武力で問題を解決しようとするやり方を肯定すれば、北朝鮮の問題でも、せっかく平和的に外交的な交渉で解決しようとしているのに、結局は(北朝鮮の問題でも)アメリカがああいう形で武力行使をすることを容認することにつながっていく。国益にも反するし、日本の安全にも反することだから、リンクしてこの問題をとらえるのは間違っています。

 だいたい、イラクの罪なき人を犠牲にして日本の安全を守ってもらうという論理自身が根本的に間違っているということを私ははっきりする必要があると思います。

 市田氏はまた、冬柴氏が、大量破壊兵器にたいする査察を十二年間やってきたとして、「その経過を考えずにいまのことだけをとらえて先制攻撃ということは間違っている」と述べたことについて、「国連は、イラクが大量破壊兵器を持っているとはまだ認定していない。(国連監視検証査察委員会の)ブリクス委員長が明確に断定していない、まだ査察が必要だといっています。しかも、本格的な査察はこれからだということで報告を出したところなんですよ」と指摘しました。

 冬柴氏は、ブリクス委員長の報告で大量の炭疽(たんそ)菌が廃棄されず、保有されていると強く推察されると書いているなどと発言しましたが、野党側は「推測されたら武力攻撃をしていいのか。そんなことにはならない」(市田氏)とそろって批判しました。

人の命は復興できない―ただちに戦争やめよ

 与党側は「日米同盟は致命的関係」(山崎氏)などとイラク攻撃支持の理由に日米同盟を持ち出し、「共産党は日米安保体制に反対している。それでは話にならない」(同)などと攻撃。これにたいし市田氏は次のように反論しました。

 市田 私たちは(日米安保に)反対です。今、世界は非同盟の流れなんですよ。アジアでも、米軍基地を置かせているような国は韓国と日本だけです。これまであったところだって全部基地を撤去して、非同盟が世界の流れになっています。

 (日米同盟というが)たとえばカナダのようにアメリカと強固な同盟関係にある国の首相でも、アメリカがやっているようなこと、世界で気に入らないすべての政権の交代をはかるというようなことになれば、次はだれの番になるだろうか。そういう心配をしなければならないじゃないか。支持できないと言っているんですよ。

 日米同盟ということさえ持ち出したらなんでも合理化できるという発想が根本から間違っているということを明確にいっておきたい。

 戦後のイラクの復興支援に日本がどう対応するべきかと司会者に問われ、岡田氏は「違法な戦争が始まったばかりのときに、戦後のことを積極的に語る気にはなかなかなれない」とのべました。

 これにたいし冬柴氏は「もう始まっているわけですし」「人道的な立場に立って率先してやるべきだ」と発言。市田氏は次のようにのべました。

 市田 復興支援の話で、岡田さんがああいう無法な戦争がやられているときに語る気になれないとおっしゃる。私も同感なんです。冬柴さんはもう始まっているじゃないかと(いう)。始まっていたら(戦争を)やめたらいいんですよ。もっとも非人道的な殺りくを支援して何が人道支援か。人の命は復興できないんですよ。

 本当に復興を考えるならば、ただちに戦争をやめろということを、憲法九条をもつ国ならばいうべきです。与党に人道を語る資格はない。