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2003年1月20日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論」

市田書記局長 の発言


 十九日放送のNHK「日曜討論」で、日本共産党の市田忠義書記局長は、二十日召集の通常国会にのぞむ基本的な態度や、小泉内閣の経済運営、北朝鮮の核開発、有事法制などの問題について、各党代表と討論しました。他党の出席者は自民党・山崎拓幹事長、民主党・岡田克也幹事長、公明党・冬柴鉄三幹事長、自由党・藤井裕久幹事長、社民党・福島瑞穂幹事長、保守新党・二階俊博幹事長。司会はNHKの山本孝解説委員。


通常国会の焦点――
暮らしと経済、平和・外交、政治とカネ

 最初に、通常国会にのぞむ基本的態度を各党が表明しました。山崎氏が「野党も法案成立に協力してほしい」、岡田氏が「小泉政権は末期症状。解散に追い込みたい」と発言。市田氏は次のようにのべました。

 市田 私は大事なことが三つあると思っています。一つは何よりも暮らしと経済、二つ目はイラク、北朝鮮の核問題など平和・外交問題、三つ目は、政治とカネの問題ですね。

 暮らしと経済では、社会保障のあらゆる分野――介護、年金、医療、雇用保険でおよそ三兆円の負担増と給付削減、そこへ庶民増税を含めますと四兆円の負担増ですね。これがいっそう景気、暮らしを悪くさせるわけで、暮らしを支えて経済を立て直す、そういう方向に経済政策を転換させていく必要があると思います。

 イラクその他の外交の問題ですが、きのうも全世界でイラク攻撃反対の大きな集会があちこちで開かれました。やはりいま世界が平和的な解決のために努力している、そういう流れに日本がいかに合流していくか。そういうときにイージス艦を出すような、アメリカの属国・日本というような姿があらわになっているわけで、平和の戦略をもった外交に切りかえる。

 政治とカネの問題でいいますと、中村喜四郎元建設大臣がゼネコン問題にかかわって、あっせん収賄罪で有罪が確定した。自民党長崎県連の前幹事長の問題も含めて、公共事業受注企業から平気で献金をもらうという自民党の体質が大きな問題になっているわけで、そこにメスを入れて徹底的に解明していく必要があるし、少なくとも公共事業受注企業からの献金を禁止することを野党四党がすでに前国会で提案しているわけですから、その成立を図りたい。

 政治とカネをめぐる自民党の体質を指摘されたことに、山崎氏は「反省すべき点は反省し、実態をよく調査、分析して再発防止につとめたい」とのべました。

“小泉構造改革敗れたり”の予算案

 次に補正予算案、来年度予算案をはじめとする経済政策を討論しました。

 山崎氏が予算の概要にふれ、税制「改正」は「景気対策に重要だ」と強調。冬柴氏は「デフレ」傾向や株価低迷は「世界的な流れだ」などと、政府・与党の失政の責任を棚上げにし、二階氏は「中小企業や地方が元気を出す政策をやる」とのべました。

 市田氏は予算案について次のようにのべました。

 市田 国民の需要が落ち込んでいるから「デフレ」になっているわけですから、そこを援助する予算にしていく必要があると思います。暮らしを応援し、雇用や失業対策や社会保障を拡充していく。

 ところが今度の補正予算と本予算をみまして、一言でいうと、「小泉構造改革敗れたり」の予算だと思うんですよ。財政が厳しいからというので、結局国民に負担増を押し付けてきたわけですね。「構造改革」と称して中小企業をつぶして、失業と倒産を拡大した。

 その結果何が起こったかというと、深刻な不況と税収の落ち込みですよ。次の予算でマイナス五兆円、赤字国債は史上最悪三十六兆円でしょう。国債依存率44%です。経済も暮らしも財政もめちゃくちゃにしておいて、そのうえに先ほどいったような四兆円の負担増でしょう。

 先ほど中小企業のことをおっしゃいましたが、大企業や国民の金利はゼロの状態ですが、中小企業向けにはものすごく高い金利ですよね。そして“貸し渋り”と“貸しはがし”でしょう。日本経済を支えている、そういうところを疲弊させておいて、私は「デフレ」克服はできないと思います。そこを転換することだと思います。

物価上げる「インフレターゲット」は邪道中の邪道

 政府が金融政策を通じて、物価上昇率を一定の水準に維持するという「インフレターゲット」に議論がすすみ、各党は「やったほうがいい」(山崎氏)、「どういう手段をとるかをセットに議論を」(岡田氏)などと発言。市田氏は次のようにのべました。

 市田 物価が下がっているのは国民の需要が落ち込んでいるからだと思うんですね。「インフレターゲット」というのは、たとえば日本でも過去に「石油ショック」のときに、物価が一気に30%上がる、それを引き下げるためにやることはあります(山本「インフレを抑えるために」)。そういうことでやられた例は(世界でも)あるが、いまの状況で、人為的に物価を上げるために「インフレターゲット」というのは、金融政策としては邪道中の邪道です。そんなことをやれば国民の所得は落ち込むし、資産も減るわけですから、こういうことはやるべきではない。

 「景気対策」としての先行減税という話、「多年度中立」とかいろいろいわれていますが、国民にとっては「中立」どころか、庶民にとっては増税ばかりで、先行減税の中身をみたら、研究開発減税とか、証券税制の改革とかいわれていますが、たとえば研究開発減税というのは、これまでだったら新しく増やしたら減税になったのですが、総額にかかるわけですから、減らしても減税になる。しかも黒字の企業しか恩恵を受けないわけですから、こんなことで景気対策などとまったく話にならないと思います。

北朝鮮問題――
軍事対応でなく平和的解決を

 つづいてテーマは北朝鮮問題に移りました。拉致問題、核開発問題への対応について各党が態度を表明。市田氏は次のようにのべました。

 市田 小泉内閣の基本姿勢にどんな問題でも日本共産党が一番対決してきたと自負をもっています。ただ、ことこの北朝鮮とのトップ同士の会談を九月の十七日に決断をしてやられた。私は交渉なしに拉致問題にしたって、植民地支配の清算にしたって、核問題にしたって、いっさい解決は暗礁に乗り上げるだけだと思うんです。相手が無法な国家だからといって、話し合いのルートも設けないというのではまずいわけであって、そういう点で私は小泉さんが決断をされたという、この点については協力を惜しまないという態度をとりました。

 しかし、その後の一切について、小泉さんがやっておられること、あるいは北朝鮮がやっていること、これは個々にわれわれは判断している。いまの北朝鮮がとっている態度は「日朝平壌宣言」に反していると思うんです。国際的な核問題の取り決めをすべて順守するといっていたのを破ったわけですから。

 NPT(核不拡散条約)体制というのは、特定の国の核独占を認める体制ですからわれわれは反対ですが、これは核兵器を全面的に廃絶するためであって、新しい国が核兵器を持つことにわれわれが賛成するわけはない。

 北朝鮮は少なくともそれに加盟していたわけで、それは核兵器を持たないという約束だったと思うんです。そこを抜けたということは、核を持つということを宣言したに等しいわけで、まったくまずい。やはりきぜんたる態度で、しかし軍事的対応で対処するのではなく、いま世界がやろうとしているように、平和的な話し合いによって、そういう問題も解決する。

 拉致も、核問題も、植民地支配の清算にしても、包括的に協議しなければいけない。

米の干渉戦争に参加――
有事法案は廃案に

 さらに有事法制をめぐっては、山崎氏が「必ず成立させる」としたうえで、「朝鮮半島事態がどのように発展していくか。そのときに対処できる法整備が完ぺきでないと超法規的にやらねばならない」と、北朝鮮問題を口実に有事法制の必要性を強調。冬柴氏は「衆院で七十二時間(審議を)やった」として、審議を急ぐべきだとの考えを示しました。また岡田氏は民主党としての対案を法案として提案することを明言しました。

 市田氏は次のように発言しました。

 市田 私は廃案しかないと思います。イラク問題でいえば、世界が平和的な解決のために努力しているときに、イージス艦を出す。北朝鮮が核開発をやると、いまアメリカも含めて世界が交渉による平和的解決、外交による解決をといっているときに、先ほどの山崎さんの発言だったら、北朝鮮の問題もあるから有事(法制)をという軍事的な対応でしか考えられないという発想を変えるべきだと思うんです。

 有事法案についていえば、野党が審議をさぼったから通らなかった(というが)、そうじゃないんです。答弁も中身もぼろぼろで、防衛庁リスト問題についても、国民を敵視するああいうことをやった。所管の大臣である福田官房長官が非核三原則の「見直し」という発言までした。こういうなかで審議がストップしたのであって、こちらから審議をストップさせたことはない。

 なぜ通常国会でも、臨時国会でも有事法制が通らなかったかというと、攻められたときの備えではなくて、海外でアメリカが干渉戦争やったときに日本の自衛隊が直接参加する、そういう憲法違反の危険性があるということで、国民世論も沸騰したわけでしょう。しかも自治体や国民に強制力をもってそれに協力させようという項目があるではないかということで、宗教界も含めて多くのところで反対の世論が高まったわけですから、私は廃案にすべきだと思います。