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2002年10月21日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論」

市田書記局長の発言(大要)


 日本共産党の市田忠義書記局長は、二十日のNHK「日曜討論」で、臨時国会の対応や経済政策、日朝問題について発言しました。討論には、自民党の山崎拓、民主党の中野寛成、公明党の冬柴鉄三、自由党の藤井裕久、社民党の福島瑞穂、保守党の二階俊博の各幹事長が出席しました。

国民生活の再建なしに日本経済の再建なし

 臨時国会にどうのぞむかについて各党が発言。二階氏から政府の経済対策について「政策転換をする時期にきている」との発言が出たのにたいし、山崎氏は「政策強化をやる」とのべました。市田氏は次のように発言しました。

 市田 大事なことが三つあると思います。

 一つは、今の経済危機のもとで国民のくらしをどうやってまもるか。二つ目は、日朝問題など道理ある外交をどうすすめるか。三つ目は、イラク、有事法制など平和の問題です。大きな問題としてはこの三つが中心課題になると思います。

 くらしの問題でいいますと、不良債権の処理の加速が一番大きなデフレ対策だといわれていますが、デフレのときにデフレを加速させるような、これまでの不良債権処理で失業、倒産が増え、中小企業への“貸しはがし”、“貸し渋り”で、いっそう景気を悪化させて不良債権をむしろ増やしてきたわけです。それをいっそう加速させると。そのうえ、これだけ暮らしが大変なときに、社会保障分野で三兆円の負担増です。

 こういうやり方をやめて、国民のくらしを応援することによって日本経済の再建を勝ち取る。国民生活の再建なしに日本経済の再建なし、この方向に転換させていくことです。

不良債権処理の加速は中小企業つぶし、景気悪化させる

 小泉内閣が打ち出した「不良債権処理の加速」について、山崎氏は「手術すべき点は手術しなきゃならない」、冬柴氏は「痛みを伴うが、早急にやるというのは国民的な要求だ」、中野氏も「(不良債権処理を一気にやることは党の)基本方針」とのべました。

 市田氏はこの議論を受けて次のようにのべました。

 市田 不良債権の処理の加速というのが、いかに失敗したかというのは事実が証明していると思うのです。竹中さんが金融担当大臣を兼務されることが決まっただけで不良債権の処理が加速させられるんじゃないかということで株価が下がる。

 不良債権の処理が遅れてるのではないんです。この一年間だけで不良債権の処理を十兆円やっている。ところがその期間に新たな不良債権が二十兆円増えて差し引き十兆円逆に増えたということになっているわけです。

 いまのやり方は要するに、GDP(国内総生産)の六割を占めている国民の需要をどう拡大するかということを抜きに、こういうやり方をやれば新しい不良債権を生むじゃないかと。

 不良債権を銀行が持っている限り、銀行の仲介機能が喪失させられるという話がありましたけれど、この間、不良債権の処理をやってきて成長産業といわれるところにお金が回ったかというと、逆に日本経済を支えている中小企業にたいする“貸し渋り”や“貸しはがし”というのは不良債権の処理のもとで強引にやられているわけです。

 例えば、調べてみましたら、この一年間で銀行から中小企業への融資は金額でいうと、一年間で三十兆円減っています。そして東京商工会議所の調査によると、50%の企業が金利を引き上げるという要請を受けているわけです。銀行には、いまの低金利のもとでお金がじゃぶじゃぶあるんだけれども、逆にこういうことやってるわけですから、これは今のやり方でいけば中小企業もつぶしていくし、いっそう景気を悪化させる道につながる。もっと需要の拡大に目を向けるべきです。

国民の懐に活力与える政策に切り替えを

 議論は具体的な経済対策に移り、このなかで山崎氏は「雇用対策、中小企業金融の強化をやる」、藤井氏は「(中小企業対策の)特別信用保証制度を充実すべきだ」と発言しました。市田氏は次のように発言しました。

 市田 いろいろ中小企業を大事にする必要があると与党側からいわれましたけれども、中小企業を大事にしない政策をこの間続けてきたから大変な事態になっているわけです。

 例えば、金融マニュアルを銀行と同じように信用金庫や信用組合に押しつけて、この間でも五十六も信組・信金が(破たんした)、これはいわば政府の政策で上からつぶされたのと一緒ですよ。

 だからわれわれは、地域金融活性化法案というのを国会に提案していますけれども、もっとそういう地元の企業とか、資金需要にきちんとこたえることを義務づけるような、アメリカなんかでそういうことやっているわけですから、そういうことをきちんとやる必要があります。

 何よりも、やっぱり不況でものが売れなくて業績が悪化しているわけですから、こういう時期に、さきほどいったような三兆円の国民負担増をやるとか庶民増税をやるとか、国民の懐を冷え込ませて大変な状況をつくって、そうなれば所得が落ち込むし消費が落ちこんで企業がつくったものも売れなくなるわけですから、そこに活力を与えるような政策に切り替えていくということをやらなかったら(だめです)。自然に中小企業が大変になったんじゃなくて、中小企業いじめの政策の結果こうなってるという反省がないところに、やっぱり大きな問題があると思うのです。

庶民増税した財源で「減税」策は本末転倒

 増減税問題をめぐって山崎氏は「景気回復のために減税先行にする」とのべました。市田氏は次のように発言しました。

 市田 この間の公共事業のバラマキで借金に借金を重ねてきて、この五年間でも二百兆円ぐらい借金が増えているわけです、国と地方をあわせれば。だから野放図な財政運営には反対です。

 しかし、まだまだ無駄を削るところはいっぱいあると思う。例えば公共事業については3%ぐらいの削減です、予定されているのは。これは物価下落分ぐらいで総事業費は減らさないというやり方ですよ。それから軍事費は世界で第二位で五兆円だけど、これは指一本ふれさせようとしない。

 そういうときに公的資金だけは大銀行にどんどん注入する。そういうお金の使い方はやっぱり改めるべきだし、さっきの減税問題ですけども、庶民にたいする増税をやって、それで財源をつくって、金持ちだとか資産家への減税やるというやり方は本末転倒していると思うのです。

 さっき中小企業対策を重視しているといわれてるけれども、いま検討されている外形標準課税なんかは、もうけに関係なく赤字の企業にもかかるわけですから、資本金や人件費にも。これをやられれば九割の中小企業は増税になるわけです。そういうことをやって、そこで出た財源で一方で減税やるというやり方は本末転倒していると思います。

北朝鮮の核開発――正常化交渉の中で即時中止求めよ

 北朝鮮との国交正常化問題、核開発問題について、山崎氏は「正常化交渉の中心テーマとしてつめていく」、中野氏は「正常化交渉の前に決着をつけるべきだ」、藤井氏は「(正常化交渉の)大前提」とのべました。市田氏は次のようにのべました。

 市田 まず前提として北朝鮮と日本のあいだには国交どころか交渉のルートもこれまでなかったわけです。

 われわれは北朝鮮が無法国家だと、例えばラングーン事件だとか日本漁船拿捕(だほ)だとか、あるいは大韓航空機爆破事件だとか無法なことをやる国だということで批判してきました。

 しかし、そういう国であればあるほど、やっぱり軍事的な対応ではなくて、交渉のルートを開いて、話し合いによってそういう問題全部俎上(そじょう)に載せる。拉致の問題もそうだし、テポドンの問題も。

 一時、一触即発という事態が進行していました。小泉さんはこの点に関していえば、諸問題を包括的に、これが解決しない限り、もういっさい話し合いはないんだじゃなくて、いっさいの両国間の諸懸案を俎上に載せて包括的に問題を処理する、交渉ルートを通じてですね。そういう点でトップ同士がそういう決断をされたというのは前向きだし、評価します。

 ただ、今度の核開発の問題でいいますと、「平壌宣言」を読みますと、核問題にかんするあらゆる国際的取り決めを「順守する」となっているんですね。しかも「平壌宣言」には、「宣言に示された精神、基本原則にしたがって国交正常化を早期に実現する」と(書いている)。

 ところが(北朝鮮は)自ら署名したこの精神、基本原則に反しているわけですから。しかも米朝の枠組み合意、自ら合意している九四年の合意を踏みにじっている。それから自分たちが加盟しているNPT(核不拡散)条約にも反する。われわれは地球上からすべての核廃絶すべきだという立場ですが、北が核開発するのは絶対反対ですし、今度の交渉のなかで、やっぱり核開発やるなと、国際的な機関の査察を受け入れろということを、政府が「平壌宣言」の精神を守れということで強く迫る。そのためにも交渉のルートを閉ざしたらだめで、国交回復がなるかどうかは別です、その交渉のルートをきちんと閉ざさずに話し合いをするということが非常に大事だと思います。