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NHK「日曜討論」
市田書記局長の発言(詳報)

2001年11月11日(日)
「しんぶん赤旗」2001.11.13(4面)



 日本共産党の市田忠義書記局長は十一日、NHK番組「日曜討論」に出席し、米国の報復戦争支援のための自衛隊派兵、PKO(国連平和維持活動)協力法改悪、政府の補正予算案の問題などについて、各党の幹事長と討論しました。

自衛艦のインド洋派遣――出したいだけが先行している

 最初に、政府が、米軍支援のため強行した自衛隊艦船のインド洋派遣がテーマになり、公明党の冬柴鉄三幹事長は、防衛庁設置法五条の「調査・研究」という「法律にもとづいた行動」と正当化。市田氏は次のように述べました。

 市田 わが党は、パキスタンに(調査のために)代表団を送ったのですけれども、中東というのは、日本が一度も侵略したことがない地域ですから、(その地域の人々は)日本のことを「ブラザー(兄弟)」と呼んでいるわけですね。それが、米軍支援のために自衛隊を送るということになると、「友人の関係がなくなるじゃないか。一番来てほしくないのは自衛隊だ」と、現地の人は言っているわけです。

 しかも、先ほど(冬柴氏は)防衛庁設置法五条にもとづく「調査・研究」とおっしゃったけれども、「調査・研究」のためなら、どこにでも出せるということになれば、自衛艦を世界中に出せるということになってしまう。(この条文は)自衛隊の本来の任務遂行のための「調査・研究」であるわけで、その本来の任務とは「日本防衛」だと思うのです。インド洋まで自衛隊が行くことが「日本防衛」とどうかかわるのか。政府の主張は成り立たないのです。

 基本計画作成のため(の情報収集)というが、(自衛艦の)到着予定は二週間後(二十日すぎ)で、基本計画をつくるのは十六日ごろですから、全然つじつまが合わない。とにかく自衛艦を出したいということだけが先行している感じがします。これには絶対反対です。

難民支援はNGOの仕事 自衛隊派兵は歓迎されていない

 報復戦争参加法(テロ対策特別措置法)にもとづく基本計画策定の問題に関連し、自民党の山崎拓幹事長は、与党三幹事長のパキスタン訪問で、同国の大統領などが「(難民への)医療支援に関しては強い関心を示した」と発言。冬柴氏も「私どもが聞いたのは、日本の自衛隊が来ていただくことは大いに歓迎だ(という声だった)」と述べました。

 これに対し市田氏は、アフガニスタンへの人道支援は、冬に入る前のこの二週間が勝負だと言われていること、国連関係者、NGO(非政府組織)関係者、パキスタン当局も「このまま空爆が続けば、何百万人という餓死者が出るという恐るべき事態が起こるから、なんとしても空爆をやめてほしい」というのが共通の思いになっていることを指摘。難民支援というが、それはNGOの仕事であって、「空爆を行うアメリカの応援のために武装した自衛隊が行けば、せっかくのブラザー(友人)が友人でなくなる」というのが日本共産党調査団が聞いてきた現地の声であり、自衛隊派兵を歓迎しているのは一部の声だと指摘しました。

PKO協力法改悪――戦争泥沼化の中、「タリバン後」の議論は滑稽

 PKO協力法の改悪問題にテーマが移り、山崎氏は、今臨時国会でPKF(国連平和維持軍)への参加「凍結」の解除と「PKO参加五原則」の「見直し」をあわせてやりたいと表明。「参加五原則」では、紛争当事者間の停戦合意と受け入れ国の同意について、戦争終結後のアフガニスタンの例をあげ、「実態的にどことどこが合意するのかという問題があり、解釈をゆるめないといけない」と述べました。これに対し、市田氏は次のように主張しました。

 市田 山崎さんから「ポスト・タリバン」という話が出たのですけれども、いま、アフガニスタンの状況を見ていると本当に泥沼化していると思うのです。(米軍の空爆は)「ビンラディンをつかまえて、アルカイダを撲滅する」という当初の目的から、クラスター爆弾や気化爆弾が使われ、無差別爆撃に変わってきたと思うのです。そういう(米軍の軍事攻撃の)泥沼化のなかで、いまこそ国連中心の制裁と裁き(の道)に切り替えるべきときに、いまこの時期に「ポスト・タリバン」ということを議論していること自身が大変滑稽(こっけい)だと思うのです。

 例えば、国連のアフガニスタン担当のブラヒミ(特別)代表は「PKOによる解決は無理だ」と言っている。それから(アフガニスタンの)北部同盟の国連大使も「停戦合意といっても、当事国がだれかも、それが国家と言えるかどうか(もわからない)。受け入れ国の同意も無理なのだから、PKOそのものが無理だ」と言っているわけです。

 先程、山崎さんは停戦合意だとか受け入れ同意だとかを取り払わないとだめだとおっしゃったけれども、(PKO協力法のなかで)「五原則」が明確にされたときには、「これがあるから、武力行使ではない。だから憲法上問題ない」と国民に説明した。これを取り払うということになれば、自衛隊が大手を振ってどこにでも出て行くということになるわけで、反対です。

リストラ野放し、中小企業つぶしやりながら、小手先の対策は本末転倒

 補正予算案の問題にテーマは移り、山崎氏は「雇用と中小企業のセーフティーネット」のためと宣伝しました。これに対し、市田氏は次のように述べました。

 市田 政府はいったい、いまの国民の暮らしや営業をどう認識しておられるのか、大変疑問に思いますね。小泉内閣ができてちょうど半年ですが、この半年間で、失業率は4・8%から5・3%(に増えました)。潜在失業者を含めれば十人に一人、約八百万(人)が失業者です。家計消費は六カ月連続で落ち込んでいますし、賃金も五カ月連続で後退している。それから、経済成長率の見通しがマイナス0・9%と(なったのは)戦後初めてのことです。

 こんど(の臨時国会は)、「雇用国会」と呼ばれているのですけれども、一方でリストラを野放しにしておいて、期限を切った不良債権の処理という形で、いわばまじめな中小企業をつぶし、新たな失業者を生むということをやっておいて、わずかばかりのセーフティーネットがあるから大丈夫だというやり方は、本当に本末転倒しているわけです。いま、雇用対策というのなら、やはり新しい失業者を生まないための解雇の制限をどうするか(ということが大事なのですが)、それが全然ないですよね。

 それから、失業者に新しい仕事をどう保障するかという点では、国連からも(是正)勧告を受けている長時間労働を短くする。少なくともサービス残業をやめさせて雇用を増やすということが大事です。

 消防署の職員は定数通りちゃんと採用すればあと数万の人が雇えるわけですし、三十人学級をつくれば教員も増やさなければならない。こんどの(政府の)案でも、「五十万人の雇用」とありますけれども、原則六カ月でほとんど臨時ですよね。こういう小手先ではなくて、やはり抜本的な対策を講じないと、いまの国民の暮らしや営業の実態を踏まえたものにはならないと思いますね。

法律で解雇規制なしは日本だけ

 解雇規制について、冬柴氏は「共産党さんとかがおっしゃっているように、解雇を制限するとしたら、自由主義経済ではない」と発言しました。

 これに対し市田氏は「いまの冬柴さんの発言は大問題だ。ヨーロッパの資本主義国はほとんど解雇規制をやっている。法律で解雇の規制をやっていないのは日本だけだ」と反論。「今度、(政府は)『解雇ルール』をつくるというが、(冬柴氏は)解雇制限なんてやらないと言った。いっそうノン・ルールにするということなのか」とただしました。

 これに対し司会者から指名された山崎氏は「雇用の安定は非常に重要なことなので柔軟に対処したい」と述べるだけで、市田氏の質問に答えられませんでした。