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NHK「日曜討論」
市田書記局長の発言

2001年9月23日(日)
「しんぶん赤旗」2001.9.24(4面)



 日本共産党の市田忠義書記局長は二十三日、NHKの「日曜討論」に出演し、米国の同時多発テロに対する日本政府の支援策や、臨時国会で焦点になる景気・雇用対策などについて討論しました。出演はほかに自民党・山崎拓、公明党・冬柴鉄三、保守党・二階俊博、民主党・菅直人、自由党・藤井裕久の各幹事長、社民党の中西績介副党首です。

 冒頭、政府の七項目の対米支援策(十九日)について山崎氏は「目に見える支援をしたい。実力組織としての自衛隊が有効に活動できる」と説明し、菅氏は「日本がテロ攻撃を受けたときの危機管理的な対応は重要だが、確証もなく敵討ち的なアメリカの行動に支援はできない」とのべました。

 対米支援策の評価を問われた市田氏は次のように答えました。

軍事報復
テロ根絶に有効でなく悪循環を生む

 市田 まったく主体的な吟味、判断が欠けていると思います。アメリカの軍事行動を無条件の前提にして、それに対してどう自衛隊が協力するかということが対処方針の基本になっています。

 その議論に入る前に、あのテロは絶対に許せない、どんな宗教的な信条、政治的見解に基づいても正当化することのできない犯罪行為であると思います。

 ですから、この国際的なテロを根絶するという点では一致していると思うんですが、その根絶のために国際社会がどういう手段を使うのが最も有効なのかという選択の問題だと思うんですね。

 その際に、アメリカがやろうとしている軍事報復、軍事力の行使が、本当に国際的なテロをなくしていくうえで役立つのか。逆に、際限のないテロと軍事報復とのいわば悪循環を生むだけで、国際テロ根絶には有効でないと思います。

 しかもいま、国際的にテロをなくそうという点で一致しているときに、逆に、テロ反対の勢力に"戦争に反対か賛成か"という亀裂を生むことにもなる。いまは国連中心で、国際法、国連憲章に基づいて法の裁きを受けさせる、そのために国際社会がどう力を尽くすかということを、一番日本が考えなければならないときだと思います。

 山崎氏が市田氏の発言に対し「話し合いで解決するとかいうやり方は(テロが)成功を収めたとなりかねない」「いったん黙認したような形での対応は再発の恐れを誘発する」とのべたため、市田氏は次のように反論しました。

 市田 先ほど山崎さんが"話し合いによる解決というのはテロを容認することになる"と。これを取り消していただきたいんです。

 私はテロ容認なんていっていない。テロは根絶すべきで、そのためにどういう手段があるか知恵を働かせるべきだと主張したのであり、しかも単なる話し合いだとはいっていません。国連中心に、国際法と国連憲章に基づいて法の裁きを受けさせるといっている。犯人を特定し被害国に引き渡して、そのもとできちんとした裁判をやらせて処罰を受けさせるべきだと。

 例えば(八八年に)パンアメリカン航空機が爆破されたとき、国際社会はそういう形で対処し、経済制裁を含む粘り強い努力をした結果、リビアが犯人を引き渡して裁判がやられたわけです。軍事行使が無条件の前提だということでは、この問題の解決にならない。これは、イスラエルとパレスチナの(テロと軍事報復の)悪循環を見ても明らかです。国際テロを是認しているとおっしゃったのは言いがかりです。

自衛隊の兵たん支援
明確な戦争行為への参戦

 自衛隊法改定や兵たん支援のための新規立法について菅氏は「(国内テロ対策の法整備は)私たちと同じ考えなら賛成する」、冬柴氏は「周辺事態法では対応できず新法が必要」と表明。中西氏は「共産党さんがおっしゃったように国際法に基づき、国連の場で論議すべきだ」と新法の必要性を否定しました。

 司会が「新しい国連安保理決議は必要か」と尋ねたのに対し、冬柴氏は「そうではない。いまの決議で十分だ」とのべ、菅氏は「国連決議をあらためて(採択し)、犯人を認定する形がとられることが重要だ」とのべました。

 続いて米軍にたいする日本の「支援」の問題がとりあげられ、「支援」の具体的な中身について、山崎氏が「武器・弾薬の補給はできない」とのべました。市田氏は次のように指摘しました。

 市田 私は、後方支援というのは、「後方地域」とつけようと、後方支援としようと、いわゆる兵たん活動なしに戦争の継続も維持も不可能で、文字どおり一体のものであるわけですから、こういうことを日本が自衛隊を派遣してやるということになれば、米軍とともに行動していると相手国からも見なされるのは当然で、アメリカ側の話を聞いていましても、テロ犯人だけでなく、それを支援している者も敵だということです。

 逆からいえば、米軍だけではなくて、それといっしょに行動している日本も、一体不可分のものだと、相手からも見られるわけで(山本「テロの対象になる」)ええ、それはもうそうなりますから、これは明確な戦争行為への参加と。日本のこの対処方針について、韓国のマスコミでも、"参戦宣言だ。テロに対処することを名目にして、軍事大国化する危険があるのではないか"ということを書くほどですから。

 それから先ほど安保理決議(一三六八)の話がありましたが、私はここにもってきましたが、よく読めば、「すべての国にたいし、これらのテロ攻撃の実行犯と組織者、後援者に法の裁きを受けさせるために緊急に協力することを求める」というふうに書いてあるだけであって、国連の軍事行為について規定した(憲章の)七章問題には言及していないわけですね。しかも国連加盟国の各国が軍事攻撃をやってよろしいということをゆだねていないわけで、これはどこをみても軍事力行使OKということにはならない。

 これに対し冬柴氏は「自衛隊がやるのは、戦闘区域と一線を画した地域までの輸送、兵たんだ」とのべるだけで、市田氏の指摘にはまったく答えませんでした。

 菅氏が「(米軍支援の)行動そのものが日本の個別的自衛権を超えた範囲だ」とのべたのに対し、山崎氏は「憲法の枠内でできるだけの国際協調をやる。自衛隊を活用してどこまでやれるか決める法律をつくる」とのべました。これに対して市田氏は次のように批判しました。

 市田 (米空母)キティホークが出港するときに、海上自衛隊の護衛艦が途中までついて行った。あれは「日常業務なんだ。警戒・監視なんだ」というが、あれはだれがみても護衛ですよ。  今度はイージス艦を出すということが言われているわけですが、どこの海に出て行くか定かではないが、インド洋やアラビア海にいったときに、果たして、ビンラディン氏が犯人かどうか国際社会でまだ共通の認識になっていないが、いったいビンラディン氏がどこにいるかという情報をイージス艦でどうやって情報収集するのかというのは、一般新聞でも疑問の声が出ているわけですからね。

 あれは事実上アメリカの空母の護衛のために出て行くというのは、だいたいだれがみても常識的なもので、情報収集に名を借りた米空母の護衛ということになるわけで、そうなるとまさに集団的自衛権ということに重なるわけです。私は警戒・監視に名を借りた護衛ということにならざるを得ないのではないかと思う。

 これに対し冬柴氏は「市田さんが言われることは、ぼくもそう思う。避けるべきだ」と認めながら、自衛隊派兵そのものは容認しました。

日本政府の対応
米の武力行使が無条件の前提で主体的判断なし

 話題は、自衛隊が米軍基地警備をできるようにするための自衛隊法「改正」問題に移りました。

 山崎氏は「国内の政経の中枢の重要施設について、自衛隊が『治安出動』の前に守れるように道をあけておく」とのべました。さらに、「避難民の救援が大事だ。その際はかなり危険なところへ(自衛隊が)行くので、武器使用の問題が出てくる(臨時国会で)真剣に議論したい」とのべ、自衛官の武器使用を身体防御などに限定した国連平和維持活動(PKO)五原則の「見直し」をすべきだとの認識を示しました。

 市田氏は次のようにのべました。

 市田 警備はやはり警察の仕事だと思う。なぜ自衛隊が出て行かなければならないのかということは、先ほど紹介があったように、自民党の中にも"戒厳令と誤解されるではないか"、"国会や皇居に銃剣をもった自衛隊員が立っているということがあっていいのか"。私はこれはもっともな意見だと思うんですね。やはりそれは警察の仕事だ。

 避難民の救援ですが、またもとにもどりますが、例えばいま標的にされているアフガンとしましょう。いまアフガンに現実に避難民が二百数十万人いる。さらに干ばつで十五万人増えたと、そこへ武力行使というようなことになれば、さらに大量の避難民を出すことになるわけで、避難民を支援するというのなら、やはりその前提になる武力行使そのものをやめるべきだ。

 党首会談のときに、山崎さんも同席していたので覚えておられると思うのですが、私どもの志位委員長が小泉総理に、アメリカがやる武力行使に日本が「主体的に」協力するというのだが、国際法上の根拠についてどう考えるかといったら、「それはアメリカが判断することだ。国連が判断することだ。そのうえで日本が考えるんだ」、すなわち日本としての現時点での主体的判断抜きに、アメリカの武力行使を無条件の前提にして、いかに自衛隊を出すか、まさに「ショー・ザ・フラッグ」で日本の旗をはためかせてほしいということに、もっと慎重な主体的な吟味をやらないといけない。何かそれが当然の前提となって、いかに日本の自衛隊を出してアメリカに協力するという話が先行しているような感じがします。

 これに対して山崎氏は、「大前提に国連の決議がある。国際協調の中心になるのは当然米軍だ。法律上の措置をやる」とのべましたが、主体的判断がないとの市田氏の指摘にはまともに答えられませんでした。

 また同氏は湾岸戦争の時に廃案となった、多国籍軍に自衛隊を派兵するための「国連平和協力法案」について、「もう一度見直して論議したい」と発言。討論のなかで新規立法など必要な法整備について「少なくとも十月いっぱいに成立させたい」との考えを強調しました。

小泉「構造改革」
個人消費あたためる施策なし―暮らし応援の政策へ転換を

 討論は、経済問題に移り、司会が「テロの経済に与える影響にどう対応していくのか。株価は一万円割れしている」と提起。山崎氏は「株価をどう支えるかということになれば、小泉構造改革を推進して、金融機関のもっている不良債権処理を急ぐ」と発言。菅氏は「財政出動によらない内需拡大と構造改革を急ぐべきだ」とのべました。これに対して市田氏は次のようにのべました。

 市田 すべてを同時多発テロに原因を求めるのは間違っていると思います。それがいっさい影響ないとはいいませんが、小泉内閣ができて五カ月たつわけですけども、あのテロが起こる前から株価の一万円割れというのは、間近にきているというのはだれもがみてきたわけです。

 たとえば失業率が5%、これはいい仕事がないから求職をあきらめた人を含めるとその倍以上、10%を超す、十人に一人が失業者と。それから消費支出も落ち込んでいるし、勤労者所得も実収入が六月を除いて連続の落ち込みです。いわばすべての経済指標が最悪の事態になっている。

 前の討論会で山崎さんもお認めになりましたけれども、いちばん大事なことは個人消費が落ち込んでいることです。これが日本の景気、経済を悪くしている。ところが、小泉「構造改革」を断行するとおっしゃったけれど、個人消費をあたためる施策というのはまったくない。やっぱりそこにいま、国民の暮らしを応援し、個人消費をあたためるという政策に切りかえるべきだと思うんです。

 たとえば5%の失業率、実質10%といわれているのに、大企業のリストラ野放しですよね。(電機、情報、自動車の)大企業三十社だけでも十六万人のリストラ計画です。これにたいして国がどういう手をうつか、企業の社会的責任と言葉ではいうけれど、それを果たさせるために国がどういう責任を果たすかという問題では具体策がいっさいないわけです。そういうところにもっと力を注ぐべきだと思います。