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NHK「日曜討論」
市田書記局長の発言

「しんぶん赤旗」2001.8.27(月)(2面)



 日本共産党の市田忠義書記局長は二十六日、NHKの「日曜討論」に出演し、首相の靖国神社参拝や低迷する景気問題について討論しました。出演はほかに自民党・山崎拓、公明党・冬柴鉄三、保守党・野田毅、民主党・菅直人、社民党・渕上貞雄の各幹事長、自由党の鈴木淑夫政調副会長です。

靖国問題―今も侵略戦争を「聖戦」と評価する神社への参拝は、不戦の誓いに最もふさわしくない

 首相が八月十三日に靖国神社を参拝したことに対し、山崎氏は「選択肢はいくつかあったが、外交的配慮で十五日を避けた」と発言。冬柴氏は「十五日を選ばなかったのは賢明な判断」と評価し、菅氏は「外交的センスのなさを示した」と批判しました。参拝への近隣諸国の反応について市田氏は次のように発言しました。

 市田 十三日に(参拝を)前倒ししたからといって、本質はまったく変わっていないと思います。「姑息(こそく)で口先だけの反省ではないか」「う回作戦だ」という声もアジア諸国から出ているわけですから。

 私は戦争で犠牲になった方を追悼するのは必要なことで、大事だと思います。しかし戦争で犠牲になった方を本当に追悼する道は、あの戦争を間違った侵略戦争だときちんと認め、反省して、二度と再びああいう戦争をしない、憲法の精神に立った平和と民主主義の国づくりのために力をそそぐ。これが、尊い命を失った方の死に報いる道だと思うんですね。

 総理が靖国神社に参拝したというのは、戦争の犠牲者を追悼するという点で最もふさわしくない場所だと思うんです。この間も議論がありましたように、(靖国神社は)天皇のために名誉の戦死をした人だけをまつって、例えば広島や長崎の原爆で亡くなった方はまつられていないわけですね。空襲で亡くなった方もまつられていない。

 戦後も(靖国神社の)性格は変わってないと思うんです。三年前に靖国神社が百三十年史を出しました。「東アジアと周辺諸国を解放するための聖戦だった」と、いまもそういう立場に立つ特別の神社です。そこに参るということは、不戦の誓いを新たにするのには最もふさわしくない場所です。侵略戦争肯定だといわれても仕方がないと思います。

 東南アジアを歴訪した山崎氏が、靖国神社参拝に各国から「特別な批判はなかった」とのべたのに対し、市田氏は次のように指摘しました。

 市田 侵略戦争を「聖戦だった」と称している靖国神社に参るということは、言葉で「反省している」といっても、だれも信じないと思うんです。

 さきほど山崎さんは、「批判があったのは中国と韓国で、訪問したところではシンガポールぐらいだ」とおっしゃいましたが、タイの英字新聞を見ますと、表立って感情的に批判はしていないけれど、それは日本から援助をもらっているからだと。だから公然とは批判できないだけであって、五十年間どういう思いですごしてきたかということについて「その疑念を晴らす責任は日本政府にある」と書いているわけです。

 私は、本当にアジアとの外交を重視するというのなら、侵略戦争の反省をきちんと名実ともにやるということなしには、アジアとの真の友好はありえないと思います。

景気対策―補正の話が出ること自身、小泉「改革」の破たんのあらわれを証明

 討論は、景気対策、補正予算の編成問題に移り、公明党の冬柴氏は「(補正予算を)真剣に検討すべき時期にきている」と発言。市田氏は次のようにのべました。

 市田 景気対策のために補正うんぬんという話が政府・与党内部から出ること自身が、小泉「改革」への自信のなさのあらわれ、小泉「改革」の破たんのあらわれのひとつの証明だと思うんです。

 「構造改革なくして景気回復なし」、当座は痛みが生じるかもしれないが、将来的には安定するとおっしゃるけれども、私たちは、これだけ国民のくらしが大変、個人消費が落ち込んでいるときに、小泉「改革」では、失業と倒産、社会保障の「痛み」を押しつけて、やればやるほど家計を直撃して、くらしを大変にする。将来的にも不況を深刻化させるもので、家計を応援する策がないと指摘してきたけれども、それがその通りにあらわれつつあるというのが実態だと思うんです。

 経済産業省の審議会のリポートを見ましても、家計消費を温めることが景気浮揚の一番大事な道だと(指摘しています)。(司会の「そのために補正予算が必要だという意見もあるが」との指摘に)中身によります。たとえば、家計を応援するための施策をやられるならば検討の余地はある。

雇用対策―雇用保険の給付延長、リストラ規制、残業時間の法的規制など積極的に

 つづいて、雇用対策にテーマが移り、山崎氏は「産業再生雇用対策本部のまとめている報告を待ちたい」と発言。雇用保険の給付期間の延長について問われた冬柴氏は「保険料とのバランスを考えて」などとのべて、明確に答えませんでした。市田氏は次のような対策を主張しました。

 市田 雇用対策で大事なことは三つあると思います。いま失業している人の生活をどう守るか、新たな失業者をできるだけださない、三つ目は雇用の拡大をどうするかです。

 先ほど、雇用保険の給付期間延長の問題がでましたけれども、今年の四月から六千億円カットされて、大部分の人が四カ月間縮小されているんですよ。もちろん、期間が延長された人も部分的にはありますよ。それでも最高十一カ月ですよ。ヨーロッパを調べてみたら、だいたい三年から五年で、雇用保険の期間が過ぎても、国が失業扶助としてだすところもあるわけですから。

 いま、完全失業者のなかで、雇用保険の適用を受けているのは三割ですよ。しかも、前もらっていた給料の六割ですから、もっと雇用保険を受ける条件を緩和して、期間を延長することがひとつです。

 新たな失業者を生まないという点では、いま次から次へと大量のリストラが発表されている。国会で何度質問しても、(政府は)「労使間の協議にゆだねる」と。結局、労使間の協議にゆだねてきたことが、5%の失業者を生んでいるわけですから、一定の(法的)規制がどうしても必要です。

 新たな雇用拡大という点では、労働時間の問題で、残業時間の規制が法的に決まっていないのは日本ぐらいなんです。ここをきちんと決めて、労働の分かち合いをやることが大事です。消防署の職員は法定で決まっている定数より少ない。定数通りきちんと採用すれば六万人。あるいは、三十人学級を実現すれば七万人の新しい教員の採用も可能なわけで、そういうことも積極的にやっていくべきです。